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雷魚
Raigyo,2009
作:宮ノ川 顕
Written by Ken Miyanogawa
短編83ページ/『化身』所収/角川書店
Ke-Shin,2009
年上の女性への想いに染まっていく少年の心
昭和の風景を切り取ったノスタルジックホラー
口裂け女の噂で恐怖に震えていた70年代の日本。6年生の康夫は小学生最後の夏休みを迎えていた。
釣り竿をくくりつけた自転車を飛ばして、雷神山の麓にある溜池へ向かう。目的は、体長1メートルを超える雷魚を釣り上げることだ。康夫はたしかにその目で見たが、他の目撃者はおらず、釣り上げる人も出ず、ついには同級生たちからウソつきと陰口をたたかれる始末だった。
ある夏の日のこと。釣りをする康夫は、ひどく垢抜けた女性に声を掛けられる。端正な容姿、訛りのない発音、都会的なしぐさ。病気療養のために夏だけ滞在しているのだという。
散歩と称し、釣りをする康夫をたびたび訪ねる女性。言葉を交わす機会が多くなるたびに康夫はほのかな恋心を持て余していくのだった。
村の夏祭り当日、激しい雨と雷鳴の中、ついに女性の正体が明らかになる。
冒頭で口裂け女(1970年代)の流行が語られる。時代を示すキーワードはこれだけなのに、ひなびた昭和の田舎町の情景が浮かんでくる。作品を構成する言葉の選び方が上手なのだろう。
一方で物語に力がない。「恋した年上の女性は幽霊でした」という少年時代の郷愁を描いているにもかかわらず、そこには何もない。空疎。一片の感傷も受け取ることができなかった。そもそも女幽霊は実体(喫煙や溜池に石を投げ入れるシーン)があるのだから物理的な力で殺人犯に復讐すれば?
【サイト登録日】2012年1月28日 【ジャンル】幽霊 ゴースト 田舎 原風景 祭り 復讐
▽メモ1舞台は茨城県常陸太田市?
物語の舞台は茨城県常陸太田市あたりだと思われます。雷神山と八坂神社(p115)の記述があり、常陸太田市には両方があります。
もう1つの根拠として本書の所収短編『幸せという名のインコ』にも「ここ北関東の田舎でも(p173)」という記述が見られます。ほぼ茨城県で間違いないでしょう。
▽メモ2口裂け女 - Wikipedia
管理人も口裂け女の洗礼を浴びた口です。歳バレますが。







